ギリシャ、冬のごちそうでセロリを大量消費|身体に沁みる「ホイリノ・メ・セリノ」
今週のお題「スープ」
大きくて立派なセロリが手に入った日、うれしい反面「これ、どうやって食べ切ろう?」とも思いました。セロリの大量消費レシピをリサーチしていたところ、煮込みにたっぷり使うのにぴったりな一皿に出会いました。
ギリシャの冬を告げる味「ホイリノ・メ・セリノ」
今回ご紹介するのは、ギリシャ語で「ホイリノ・メ・セリノ(Χοιρινό με σέλινο)」と呼ばれる料理です。直訳すると「豚肉とセロリ」。名前はシンプルですが、ギリシャ全土で愛されている国民的な冬の煮込み料理です。
特にペロポネソス半島や北部テッサロニキなどの地域では、厳しい冬の寒さを乗り切るための滋養強壮食として、また家族が集まる日曜日のランチの定番として親しまれているようです。

実はこの料理、現地の歴史を紐解くと「クリスマス」と深い関わりがあります。 かつてギリシャの農村部では、冬の保存食を作るために豚を屠殺する「ヒロスファギア」という伝統行事がありました。これは、冬の間の貴重な保存食(ソーセージ、塩蔵肉、ラード)を確保するための重要な経済活動であると同時に、厳しい冬を前にした共同体の結束を固める社会的なイベントでもあった ようです。この際、新鮮な豚肉を使って最初に作られた祝祭料理の一つが、この豚とセロリの煮込み「ホイリノ・メ・セリノ」だったと言われています。
今でもギリシャの人々にとって、この料理の香りは冬の訪れやクリスマスの団欒を思い出させる、心温まる「コンフォートフード」なのです。
「アヴゴレモノ」の秘密
この料理をただの「肉野菜煮込み」で終わらせない最大の要素が、仕上げに加える「アヴゴレモノ(Avgolemono)」というソースです。 「アヴゴ」は卵、「レモノ」はレモンを意味しており、つまりは卵とレモン汁を合わせたソースなのですが、これが驚くほどクリーミーで爽やか!
歴史的な説によると、このソースの原型は15世紀頃、スペインから逃れてきたセファルディム・ユダヤ教徒が持ち込んだ「アグリスタダ」というソースにあるとも言われています。宗教上の理由で「肉と乳製品」を一緒に食べられない彼らが、乳製品を使わずにクリーミーさを出すために生み出した知恵なんだとか。それがギリシャの豊かなレモン文化と融合して完成したのが、このアヴゴレモノなのです。
生クリームやバターを一切使っていないのに、濃厚でコクがある。それなのにレモンの酸味で後味はさっぱり。この絶妙なバランスが、脂の乗った豚肉と香り高いセロリをひとつにまとめ上げてくれるのです。
美味しく作るコツ
美味しく作るためのポイント レシピ自体はシンプルですが、現地の味に近づけるためにいくつかコツがあります。
- お肉はしっかり焼き付ける 現地の家庭では、煮込む前に豚肉(肩ロースなどがおすすめ)の表面をしっかりソテーします。この「メイラード反応」による香ばしさが、酸味のあるスープに負けないコクを生み出します。
- セロリは葉っぱまで使う 日本のスーパーで売られているセロリ(パスカルセロリ)は、現地の品種に比べてえぐみが少ないので、下茹でなしでそのまま使って大丈夫です。香りの一番強い「葉」の部分も捨てずに、仕上げ直前に加えると風味がグッと豊かになります。
- 最大の難関は「温度管理」 アヴゴレモノソースを鍋に入れる時が一番の緊張ポイントです。熱々のスープにいきなり卵液を入れると、卵が煮えて「かき玉汁」になってしまいます。スープを少しずつ卵液に加えて温度を慣らしてから鍋に戻すのが、プロのようなクリーミーな質感に仕上げる秘訣です。
また、仕上げに蓋をして5〜10分ほど休ませることも大切。ギリシャでは「料理が落ち着く」と表現されるそうですが、この一手間で味が馴染み、一体感が生まれます。
難易度は「中級」といったところでしょうか。シチューを作る感覚で挑戦できますが、最後の卵ソースだけ少し慎重になれば、きっと成功します。 セロリを一株買った日は、ぜひギリシャの風を感じるこの煮込みを試してみてください。
「ホイリノ・メ・セリノ」|2人前

セロリたっぷりのスープ煮に、卵+レモンの「アヴゴレモノソース」を加えて仕上げる一皿。
※ソースを入れた後は絶対に沸騰させないのが最大のポイントです。
材料(2人前)
- セロリ:250g
- 豚肉:200g
- おすすめ:豚肩肉(煮込み向き)
- もも肉でもOK
- スペアリブなど骨付きにすると旨味アップ
- 長ネギ(白い部分):約20cm
- 玉ねぎ:1/2個
- 卵:1個(調理前に常温に戻す)
- 白ワイン:100ml(なければ水でOK)
- 水:500ml
- 小麦粉:大さじ1弱
- オリーブオイル:大さじ1(+仕上げ用少々)
- レモン果汁:大さじ1
- 塩・こしょう:適量
- (あれば)オレガノ:小さじ1ほど
下ごしらえ
- セロリは軽く洗い、茎と葉に分ける
- 茎:1cm幅くらいの斜め切り
- 葉:細かく刻む(※後で「2/3」と「残り」に分けて使う)
- 長ネギ:半月切り
- 玉ねぎ:繊維に沿ってくし形切り
- 豚肉:軽く塩・こしょうを振って下味をつける
作り方
1)豚肉を焼く(コクの決め手)
- 下味をつけた豚肉に**小麦粉(大さじ1弱)**をまぶし、薄く全体に絡める
- とろみの助けにもなります
- フライパンにオリーブオイル 大さじ1を熱し、豚肉を炒める
- 強めの火加減で表面をしっかり焼き付け、こんがり焼き色がついたら取り出す
2)野菜を炒めて煮込む(40分)
- 同じフライパンで玉ねぎを炒める
- 透明感が出てきたら長ネギを加えて軽く炒め合わせる
- セロリの茎+刻んだ葉の2/3を加えて混ぜる
- あればここで**オレガノ(小さじ1)**も
- 豚肉を戻し入れ、
塩 小さじ1/2、こしょう少々、白ワイン100mlを加えて、フライパンの旨味をこそげ取る - 水500mlを加えて沸かし、蓋をしてごく弱火で40分煮込む
3)火を止めて温度を下げる
- 残りのセロリの葉を加えて混ぜる
- 火を止めて5分置き、鍋の温度を少し下げる(卵が固まるのを防ぐため)
◎アヴゴレモノソース(卵+レモン)を作る
- ボウルに卵1個を割り入れ、
レモン果汁 大さじ1、塩ひとつまみ、こしょう少々を加えてよく混ぜる - お玉で鍋のスープをすくい、少しずつ卵液に加える
- 混ぜながら、少量ずつがコツ(卵が固まるのを防ぐ)
- これを数回繰り返し、卵液が温まったら準備OK
4)仕上げ(ここから絶対に沸騰させない)
- アヴゴレモノソースを鍋に入れ、全体に行き渡るように混ぜる
- 以後は沸騰させない
- 翌日に温め直す場合も同様に沸かさないこと
仕上げにオリーブオイルを少々回しかけて完成!
セロリ大量消費のつもりで作ったのに、気づけば「アヴゴレモノって何?」「ギリシャの冬ってどんな匂い?」と、食べながら旅が始まる料理です。セロリをたくさん食べれて、身体もぽかぽか、寒いこの冬に「ホイリノ・メ・セリノ」でギリシャを感じてみてください〜。
焼きナスの概念が変わる?インド移民が伝えたカリブの朝ごはん「ベイガン・チョカ」
カリブ海の朝ごはん「ベイガン・チョカ」
ベイガン・チョカ(Baigan Choka)は、トリニダード・トバゴやガイアナなどカリブ海南部で親しまれている、直火で焼いたナスを潰して、香味野菜と塩、唐辛子、そして熱々の油でまとめる料理です。
「ベイガン(Baigan)」=ナス
「チョカ(Choka)」=焼いた野菜を潰す調理法
焼きナスの香ばしさに、刻み玉ねぎのシャキッ、にんにくのパンチ、唐辛子の刺激が重なって、最後に熱い油が全体を“とろっ”と一体化させます。
単体でもおいしいけれど、現地ではたいていサダ・ロティ(Sada Roti)というイーストなしの平焼きパンと一緒に食べます。
ロティに包んで食べると、辛さも香りもほどよく丸くなるから不思議ですね。

背景:インド移民が運んだ故郷の味
この料理が生まれた背景には、カリブ海の複雑な歴史が隠されています。
19世紀半ば、奴隷制度が廃止されたカリブ海の島々では、サトウキビ農園の労働力が不足しました。そこでイギリスは、植民地だったインドから大量の契約労働者を連れてきたのです。主に現在のビハール州やウッタル・プラデーシュ州から来た彼らは、過酷な労働環境の中でも、故郷の味を忘れませんでした。
インド北東部では「バイガン・カ・チョカ」という、炭火でナスを焼いて潰す料理が愛されていました。カリブ海に渡った移民たちは、現地で手に入る材料(激辛のスコッチボネットペッパーなど)を使いながら、この味を再現し続けたのです。
朝早く農園に向かう前、手早く作れて腹持ちの良いこの料理は、まさに労働者たちの「エネルギー源」でした。150年以上の時を経て、今ではトリニダード・トバゴやガイアナの国民的朝食として愛されています。
主な材料(2人分)
ベイガン・チョカ
- 米ナス 2本(千両ナスなら3本ぐらいがおすすめ)
- にんにく 5かけ
- ピーマン 2個
- 唐辛子 2本(現地はスコッチボネット使用、その他の代用品は後述)
- 玉ねぎ 40g(粗いみじん切り)
- オリーブオイル 大さじ2(アボカドオイルでも可)
- 塩 小さじ1/2
サダ・ロティ
- 中力粉 200g(薄力粉と強力粉を1:1で代用可)
- ぬるま湯 150ml
- 塩 小さじ1/4
作り方の流れ

- ナスに切れ込みを入れ、皮をむいたにんにくを差し込む(突き破りに注意。小ぶりナスほど慎重に)。
- ナスをアルミホイルで包み、直火で約10分焼く(時々転がし、ヘタ側や先端にも火を当てる/トングで触ってフニャッとなればOK)。
- ピーマンに切れ込みを入れ、唐辛子を中へ。ピーマンも包んで直火で約5分焼く(唐辛子を“やんわり蒸す”狙い)。
- 皮をむいて中身をボウルへ:ナスは切れ込みを広げスプーン等で中身をしごき出す(黒い皮はなるべく入れない。少しならOK)。ピーマンの焦げはキッチンペーパーでこすると取れやすい。
- 塩を入れて潰し混ぜ、刻み玉ねぎ&刻んだ唐辛子を加える(マッシャーやフォークで“押しつぶす”ように)。
- 油を熱して仕上げ:フライパンにオリーブオイル大さじ2を入れ、軽く煙が出るくらいまで熱し、ボウルへ投入(※飛び散り注意、深めのボウル推奨)。全体が完全になじむまで混ぜて完成。
- ロティ作り:材料を混ぜて5分寝かせ、3等分。油を引いたフライパンを熱し、薄く焼く

現地での食べ方
トリニダード・トバゴの朝は、このベイガン・チョカから始まります。焼きたてのロティに包んで、手でかぶりつくのが現地流。朝の屋台では、大きな鍋でベイガン・チョカを作り置きし、注文が入るたびにロティを焼いて提供します。
定番の飲み物は、甘いミルクティーやコーヒー。スパイシーな料理の辛さを、甘い飲み物が優しく中和してくれます。週末の朝は、家族みんなでテーブルを囲み、大皿のベイガン・チョカをシェアするのが、インド系家庭の風景だとか。
☆重要ポイント
トリニダード・トバゴの近くのガイアナでは、直火で炙ったトマトも崩して混ぜる バランジェ・チョカ(Boulanger Choka) が食べられています。
ベイガン・チョカが余ったら、焼きトマトを足してリメイク。家の食卓が一気に“カリブ近海”になります。
外せない3つのポイント
- ナスは皮が真っ黒になるまで焼く(スモーキーな香りが命)
- 熱々の油で仕上げる(生玉ねぎの辛みを和らげる)
- ロティは薄く焼く
次の週末の朝食に、ぜひこのカリブ海のソウルフードを試してみてください!
慣れてきたら、焼きトマトを加えたり、カレー粉を少し混ぜたり、自分だけのアレンジも楽しめます。私は作りながら「意外とBBQで作れるかも?」と感じました。
キャンプ飯としてのベイガン・チョカもありかもしれませんね。
よくありそうな質問(FAQ)
Q1. 米ナスが手に入りません。千両ナスでも作れますか?
A. 作れます。千両ナスは小さく皮が薄いので、にんにくを差し込む時に突き破らないよう注意を。水分が出やすいので、アルミホイルで包むのもおすすめです。
Q2. スコッチボネットがありません。辛さと香りはどう調整する?
A. 近いのはハバネロです。手に入らなければ、鷹の爪で辛さを作り、赤パプリカ+レモン汁(またはマンゴーピューレ少量)で“フルーティーさ”を補うと雰囲気が出ます。辛いのが苦手なら唐辛子はごく少量から。
Q3. 作り置きできますか?保存は?
A. 可能です。冷蔵で1〜2日を目安に。香りのピークは作りたてなので、食べる直前に少量の油を温めて追いがけすると、ぐっと復活します(飛び散りだけ注意)。でもやっぱり作り立てが一番おいしかったです。
白菜がまるごとおにぎりに?中国東北部のソウルフード「東北大飯包」
まるで白菜が主役の弁当箱
中国の東北地方を旅する友人から送られてきた写真に驚きました。
白菜の葉っぱで何かを包んだ、手のひらより大きな塊を豪快にかぶりついている姿。
「これ、めちゃくちゃ美味しいから日本でも作ってみて!」とのメッセージ。調べてみると、これが東北大飯包(ドンベイ・ダーファンバオ)という、現地で愛されるB級グルメだったのです。

この料理は何?
東北大飯包(ドンベイ・ダーファンバオ)は、一言でいうと「味付けご飯を白菜で包んだ巨大おにぎり」。日本のおにぎりが海苔で包むように、こちらは白菜の大きな葉で包み込みます。中身は味噌と卵で作った特製ソース「鶏蛋醤(ジーダンジャン)」で味付けしたご飯に、じゃがいもやナスなどの野菜がたっぷり。
背景:満州族の知恵から生まれた郷土料理
中国東北部(旧満州地域)の黒竜江省、吉林省、遼寧省で愛されているストリートフードです。そのルーツは清朝時代の満州族の食文化にあります。野外での農作業や狩猟の際、食器を使わずに手軽に食事ができるよう、葉野菜でご飯を包んで食べる「包飯(バオファン)」という習慣が始まりだったとか。
現在では、家庭での残り物整理として作られるほか、学校の周りの屋台や市場で売られる人気のストリートフードとなっています。安くてボリュームがあり、味が濃いため、現地の言葉で「下飯(シャファン)」=ご飯が進む料理の代表格とされています。
豆知識①
東北地方では伝統的に、白米と粟(アワ)を混ぜて炊いた「二米飯(アルミーファン)」を使用。食感と栄養価を高める工夫です。
日本人にもなじみやすい味わい
味の決め手となる鶏蛋醤は、炒り卵に特製味噌「東北大醤」を合わせたもの。
これが八丁味噌のような濃厚なコクと、ほんのりとした塩気をもたらします。日本でいえば「肉味噌(肉抜き)」のような感覚で、ご飯によく合います。

食感は、ほくほくのじゃがいもとトロッとしたナス、シャキシャキの白菜が混ざり合い、まるで「おかず入りおにぎり」。パクチーの香りと揚げピーナッツのカリッとした食感がアクセントになり、一口ごとに違う味わいが楽しめます。
主な材料(2人分)
- 卵 2個
- 東北大醤(代用:八丁味噌大さじ3+濃口醤油小さじ1+水大さじ3)
- 白米 茶碗2杯分
- じゃがいも 150g
- ナス 1本
- 白菜 外側の大きな葉 4〜6枚
- 万能ねぎ、パクチー 適量
- 揚げピーナッツ 好きなだけ
- 青唐辛子 2本(辛いのが苦手なら省略)
作り方の流れ
- 鶏蛋醤を作る:多めの油で半熟いり卵を作り、青唐辛子と東北大醤を加えて軽く煮詰める
2. 具材の下準備:ナスはラップをして、600Wの電子レンジで3分蒸す。じゃがいもは茹でて軽くつぶす
3. 混ぜ合わせる:ご飯、野菜、鶏蛋醤、ネギ、パクチー、ピーナッツを均一に混ぜる
4. 白菜で包む:茹でて柔らかくした白菜の葉で具を包み込む

現地での食べ方:「豪快にかぶりつくのが流儀」
現地では手で持って、めはり寿司のように豪快にかぶりつくのが正しい食べ方。
一晩置くと味がなじんでさらに美味しくなるため、作り置きにも向いています。
飲み物は、脂っこさをさっぱりさせる中国茶(ジャスミン茶や烏龍茶)が定番。
ビールとの相性も抜群で、現地の若者には人気の組み合わせです。
豆知識②
余った鶏蛋醤は万能調味料!
東北式ジャージャー麺(炸醤麺)のソースや、蒸しパンのディップとして大活躍します。
再現のヒント
東北大醤が手に入らない場合は、八丁味噌をベースに醤油で調整すれば近い味に。
韓国のテンジャンを混ぜるとより本格的になります。
白菜は必ず外側の大きな葉を使用しましょう。内側の葉では小さすぎて包みきれません。また、葉を茹でる際は茹ですぎず、巻きやすい程度の柔らかさに留めることがポイントです。
パクチーとピーナッツは必須。この2つが入ることで、一気に本場の味に近づきます。
まとめ:3つのポイント
- 鶏蛋醤の濃厚な味わいが全体をまとめる
2. 白菜で包むことで野菜もたっぷり摂れる
3. 作り置きOKで、翌日の方が美味しい
次は、余った鶏蛋醤を使って東北式ジャージャー麺に挑戦してみてはいかがでしょうか。うどんにかけるだけで、本格的な中華麺に早変わり。白菜の葉っぱで包んだ見た目のインパクトは、ホームパーティーでも話題になること間違いなしです。
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よくある質問(FAQ)
Q1: 東北大醤はどこで買えますか?
A: 中華食材店や大型スーパーの中華調味料コーナーで見つかることがあります。ネット通販でも購入可能ですが、八丁味噌での代用で十分美味しく作れます。
Q2: 白菜以外の野菜でも包めますか?
A: キャベツの葉やレタスでも代用できますが、白菜の方が葉が大きく包みやすいです。現地でも白菜が定番です。
Q3: 辛くないバージョンは作れますか?
A: もちろんです。青唐辛子を省略し、鶏蛋醤に砂糖を少し加えることで、お子様でも食べやすい優しい味わいになります。
アジアの香りがキッチンに!インドネシアの屋台飯「マルタバ・テロール」
今回は、東南アジアの熱気を感じる国、インドネシアへ旅をしましょう。
ご紹介するのは、インドネシアの夜を彩るソウルフード「マルタバ・テロール(Martabak Telur)」です。
日本ではまだ馴染みが薄いかもしれませんが、現地では知らない人がいないほどの国民食。しかも、ただ美味しいだけでなく、なんと「将来の義理の両親への手土産」としても使われるという、ユニークな文化背景を持つ料理なんです。
スパイシーな香りとサクサクの食感がたまらない、この「マルタバ・テロール」の魅力とレシピをたっぷりご紹介します!

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1. マルタバ・テロール(Martabak Telur)
この料理の名前は「マルタバ・テロール」。
インドネシア語で「Telur(テロール)」は「卵」を意味します。
ちなみにインドネシアには2種類の「マルタバ」があります。
- Martabak Manis(マニス): 日本の大判焼きのような、甘くて分厚いパンケーキ。
- Martabak Telor(テロール): 今回紹介する、お肉やネギを包んで揚げ焼きにした塩味のお惣菜系。
語源はアラビア語の「Mutabbaq(折りたたまれたもの)」にあり、中東やインドから伝わったものが、インドネシアで独自の進化を遂げた料理です。
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2. どんな場面で食べる?
マルタバ・テロールは、主に夜の屋台(カキリマ)で売られています。
仕事帰りのサラリーマンが家族へのお土産にしたり、小腹が空いた時の夜食として友人たちとシェアして食べるのが一般的。
現地では、アヒルの卵(Telur Bebek)を使うのが通の食べ方。鶏卵よりも味が濃厚で、揚げた時にサクサク感が増してボリューミーになるため、好まれています。
「カロン・メルトゥア」への最強の貢ぎ物
インドネシアには、非常に面白い「暗黙の了解」があります。
それは、「彼女の実家に遊びに行く時は、マルタバ・テロールを持っていくこと」。
これを現地ではジョーク交じりに「Martabak sebagai alat diplomasi(外交ツールとしてのマルタバ)」と呼びます。
嫌いな人がほとんどおらず、家族みんなで分け合えるため、「カロン・メルトゥア(Calon Mertua=未来の義父母)」のご機嫌取りに最適な手土産とされているんです。
まさに、人間関係を円滑にする魔法の食べ物なんですね!
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3.歴史の小話:ジャワとインドの融合
歴史を紐解くと、中部ジャワ州の「ルバックシウ」という地域にたどり着きます。
1930年代、地元の青年アフマドと、インド出身のアブドゥラが出会い、インドのマルタバをジャワ人の口に合うように改良(野菜などを追加)したのが始まりだと言われています。
まさに異文化交流から生まれた傑作です。
今回は、現地の屋台の作り方や、インドネシアの家庭料理サイトなどをリサーチし、日本の家庭にある道具で作れるようにアレンジしました。
本来は職人技のように生地を空中で薄く広げるのですが、今回はフライパンの上で伸ばせる「漬け込み生地」の方法を採用しています。
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4. 材料(2枚分)
<皮(クリット)>
薄力粉:30g
中力粉:30g
塩:2つまみ
水:120ml
サラダ油:大さじ2
【時短テクニック】
皮を作るのが面倒な場合は、「春巻きの皮」を2枚重ねて代用してもOKです(水溶き小麦粉で貼り合わせると強度が出ます)。ただし焦げやすいので、具を先に炒めてから包むのがおすすめです。
<具(イシアン)>
鶏ひき肉:150g
白ねぎ:1本(みじん切り)
ニンニク:1片(みじん切り)
カレー粉:小さじ2
※より現地風にしたい場合:ガラムマサラ小さじ1.5、クミンパウダー小さじ0.5、クローブパウダー少々を追加
塩・こしょう:適量
卵:1個
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5. 作り方

手順1:皮の生地を作る
ボウルに<皮>の材料(粉類、塩、水、油)をすべて入れ、ダマがなくなるまでよく混ぜます。そのまま30分ほど置いて生地を休ませます。
(この「寝かせ」が重要!グルテンが落ち着いて伸びやすくなります)
手順2:具を作る
ボウルに<具>の材料をすべて入れ、よく混ぜ合わせます。
現地では生のまま包んで揚げますが、家庭の火力だと火が通りにくい場合があるので、心配な方はひき肉だけ軽く炒めてから卵と混ぜても良いでしょう。
手順3:フライパンで成形する
ここがポイントです!
- 火をつける前に、テフロン加工のフライパンに生地の半量を流し入れ、お玉の背などでうすーく広げます。(厚いと巻く時に割れてしまうので注意)
- 広げたら、中火の弱火に点火します。
- 生地が白っぽくなり火が入ってきたら、真ん中に<具>の半量を乗せます。
コツ: 具は欲張らないこと!多すぎると包めません。餃子のような気持ちで、少し控えめに。
手順4:包んで焼く
- 火を「強めの中火」にします。
- 生地の淵が焼けてきたら、中央の具を包み込むように四角く折りたたみます。
- フライ返しを使ってひっくり返し、両面にこんがりと美味しそうな焼き色がつくまで、じっくり揚げ焼きにします。
手順5:カットして完成
まな板に取り出し、食べやすい一口大の正方形にカットして出来上がり!
お好みでパクチー等を添えて東南アジア感を演出してください。
私は前回のトリンチャット編で使用したフレンチパセリが余っていたのでなんとなく添えました。アジア感はないですね。
【アンドラ郷土料理】トリンチャット(Trinxat)|じゃがいも×キャベツの素朴レシピ - 旨味のるつぼ|まだ見ぬ世界の地味うま料理
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6. 作ってみた感想・味の特徴
実際に作ってみると、スパイスを炒めている時の香りがたまりません!一気にキッチンが東南アジアの屋台の雰囲気に包まれました。
食べてみると、皮はパリッとしていて、中は卵とお肉の旨味がぎっしり。
カレー粉のスパイシーさと、たっぷりのネギの風味が食欲をそそります。
春巻きとオムレツのいいとこ取りをしたような、どこか懐かしくもエキゾチックな味わいです。
生地作りが難しそうに見えますが、フライパンの上で広げる方法なら失敗知らずでした。意外と家にある材料だけで「現地の香り」が再現できるのが嬉しい発見です。
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7. おすすめの食べ合わせ
現地では、ただそのまま食べるのではなく、付け合わせ(通称:アチャールなど)と一緒に食べるのがお約束です。
タレ: 酢醤油や、スイートチリソースがよく合います。現地風にするなら、酢・砂糖・醤油・水を混ぜた甘酸っぱいタレを作ってみてください。
付け合わせ: キュウリのピクルスや浅漬けがベストマッチ。脂っこさをさっぱりさせてくれます。
飲み物: 甘いアイスティー(Es Teh Manis)や、現地のビール「ビンタンビール」があれば最高ですね!
もし、勇気がある方は現地の人のように「生の青唐辛子」をかじりながら食べてみてください。刺激的な辛さが、濃厚なマルタバの味を引き締めてくれますよ。
いかがでしたか?
「未来の義父母への手土産」になるほどの国民食、マルタバ・テロール。
今度の週末は、ぜひお家でインドネシアの風を感じてみてください!
【アンドラ郷土料理】トリンチャット(Trinxat)|じゃがいも×キャベツの素朴レシピ
1.Trinxat(トリンチャット)
トリンチャットはアンドラ公国の名物料理。
見た目はかなり地味ですが、「土地の暮らし」が詰まった郷土料理です。
日本語にすると「(野菜を)細かく刻んで混ぜた料理」みたいなニュアンス。
名前の由来はカタルーニャ語の 「Trinxar(トリンチャル)」=「細かく刻む/切り刻む」 で、茹でた野菜を刻んで合わせる調理法がそのまま料理名になっています。
2.どんな場面で食べられる?
もともとは貴族の料理ではなく、農民や羊飼いの食事。
寒い地域で、手に入る食材が限られる中、寒さに耐えるための高カロリーな食事が必要だったため、ジャガイモ(炭水化物)+豚の脂という、理にかなった組み合わせに落ち着いた…という背景が見えてきます。
基本は冬の料理で、毎年2月にはアンドラに近いスペインの町プッチサルダーで
「トリンチャット祭り(La Festa del Trinxat)」が開かれ、何千人もの人がこの料理を楽しむそう。地元の人の愛の強さを感じます。
食べ方の定番は、熱々をカリカリのベーコン(豚肉)と一緒に頬張ること。
脂っこさを中和するため、しっかりした赤ワインと合わせるのが王道みたいです。

3.材料
(2〜3人分くらい)
- じゃがいも:2~3つ(男爵がおすすめ)
- キャベツ:150~200g 茹でるとカサが減るので多めでもOK(本来はサボイキャベツ/ちりめんキャベツ)
- 代用:普通のキャベツでOK。できれば外側の緑が濃い葉を使うと雰囲気です
- ベーコン:適量
- あれば:パンチェッタなどの豚の塩漬け系だとよりそれっぽい
- 地方によってはラム肉で作ることもあるそう
- にんにく:1かけ(好きなら倍でも)
- オリーブオイル:大さじ1杯弱(忘れてもなんとかなるけど、本来は入れる。)
・ラードでも“現地感”が出ます
- 塩:2つまみ
- こしょう:適量
- 白こしょうがあると味が締まってかなり良い
5.作り方

-
キャベツとじゃがいもを塩水で茹でる
柔らかくなるまで(目安10分くらい)。 -
ザルにあげて、しっかり水気を切る(重要)
ここが一番のポイントかもしれません。水っぽいトリンチャットは現地では「失敗作」扱いらしいです。- コツ:じゃがいもとキャベツは別々に取り出す
キャベツの水分がじゃがいもに移って水っぽくなりにくいです。
さらに、熱々のじゃがいもの皮をむいてる間に、キャベツの余分な水分が飛んでくれます。
- コツ:じゃがいもとキャベツは別々に取り出す
-
ボウルでじゃがいも+キャベツを潰しながら混ぜる
ピューレ(完全なペースト)にはしないで、野菜の形が少し残る程度が理想。
現地感を出したいなら、マッシャーよりフォークが雰囲気出ます。 -
フライパンでベーコンをカリカリに焼く → 肉だけ取り出す
脂はフライパンに残しておきます(これが旨み担当)。 -
脂の残ったフライパンでにんにくを炒め、香りを出す
みじん切りにしたにんにくを入れて、焦がさないように。 -
潰した野菜を投入して、平たい円形に整える → 両面を焼く
中火〜強火で両面をこんがり。表面にカリッとした焼き色がつけばOK。- ひっくり返しのコツ:お皿を使うと失敗しにくい
お好み焼き感覚でいけると思ったら…トリンチャットは想像以上に柔らかくて、けっこう崩れます。
- ひっくり返しのコツ:お皿を使うと失敗しにくい
-
皿に盛って、上にカリカリベーコンをのせて完成
6.作ってみた感想・味の特徴
食べている途中でオリーブオイルを入れ忘れたことに気づきました。
でも、豚肉から出た脂だけで十分おいしい。むしろ「これで成立する料理なんだ…」という納得感がありました。
味はとても素朴で、落ち着く系。
じゃがいものほくほく感とキャベツの甘み、そこににんにく+豚の脂+胡椒が入って、地味なのにちゃんと満足感があります。表面をカリッと焼くほど香ばしさが出て、箸(フォーク)が止まりません。
食べ方としては、
- 赤ワインのお供にすごく合う
- 怒られるかもだけど、リッツに乗せて食べてもおいしい(塩気と脂が合う)
見た目は渋いのに、簡単でちゃんと美味しい。
「冬の郷土料理ってこういうことだよね」と思える一皿でした。
体調が微妙な日にちょうどいい:中国のやさしい蒸し卵「嫩滑水蒸蛋」
1.嫩滑水蒸蛋
嫩滑水蒸蛋(nèn huá shuǐ zhēng dàn/ネンホワシュイジョンダン)
直訳するとだいたい 「なめらか(水で作る)蒸し卵」。
中国(中華圏)で親しまれている、卵の“つるん・すべすべ感”を主役にした蒸し料理です。
2.どんな場面で食べられる?
嫩滑水蒸蛋は、家庭でよく作られるやさしい味の蒸し卵。
消化が良いので、体調が悪いとき/病気のとき、離乳食っぽい位置づけです。
二日酔いの日などにも向きそうな料理だなと思いました。
食べる直前に、上から醤油・ごま油・万能ねぎをかけて香りを足すのが定番。
さらに、ごはんにかけて食べてもおいしい(“卵かけご飯”とは別方向の幸せ)です。
茶碗蒸しとの違い
作っている途中で「出汁を入れたい」「具を入れたい」気持ち、めちゃくちゃ分かります。
が、それをやると茶碗蒸しになっちゃいます。
- 茶碗蒸し:出汁の香り、具の食感を楽しむ料理
- 嫩滑水蒸蛋:卵そのものの風味と、すべすべ・なめらかな舌触りを楽しむ料理
今回は“あえて水と卵だけ”で行きます。

3.材料
(作りやすい分量)
- 卵:3個(約160g)
- 水:320ml(卵の約2倍量)
- もう少し硬めが好みなら:1.5倍でもOK
- 計量のコツ:卵の殻で水の量を測ると“それっぽい”+手軽
- 塩:ひとつまみ
仕上げ
- 醤油:適量
- ごま油:適量
- 好みで万能ねぎ:適量
5.作り方
先に「す」を入れないためのコツまとめ
- 水は一度沸かしてから使う(「す」=気泡っぽい穴が入りにくい)
- 卵液は泡立つまで混ぜない(空気を入れない)
- ザルで濾す(仕上がりが滑らか)
- 蓋をして蒸す(水滴が落ちると表面がボコボコになる)
- 蒸し中はゴボゴボ沸騰させない(弱火で穏やかに)
手順

①卵液を作る
ボウルに卵・水・塩を入れて混ぜる。
※泡立てない/空気を入れないイメージで。
※水は一度沸かしたものを使うと「す」が入りにくいです。
②濾して器へ
①の卵液をザルで濾し、耐熱の器に注ぐ。
器のおすすめ:浅めで平らな器(深い器だと火の通りがムラになることがあるので、グラタン皿などが良いかも。)
ラップをして、爪楊枝で数カ所穴を開ける。
③蒸す(6分)
沸いたお湯で6分蒸す。
※蒸し始めたら火加減は弱火。ゴボゴボさせない。
④余熱(6分)
6分経ったら火を止めて、そのまま余熱で6分火を通す。
⑤仕上げ
食べる直前に、醤油+ごま油を合わせたタレをかけ、万能ねぎを散らして完成。
ごはんにかけても相性抜群で、「茶碗蒸しをおかずにご飯を食べてる」みたいな不思議な満足感があります。
6.作ってみた感想・味の特徴
これは「味が派手」というより、食感の幸福度が高い料理でした。
出汁や具材で盛らなくても、卵と水だけでちゃんと成立するのが面白いところ。上から醤油とごま油を落とすと、香りが立って一気に“おかず力”が出ます。
体調が微妙な日でも食べやすくて、確かに家庭で愛される理由が分かる一皿でした。